2009年7月 5日 (日)

住み替えにおける不動産売却

ここ最近、自宅を売却して新しく住まいを購入しようという方の相談が増加しております。リーマン・ショック以後の景気後退などによる経済的な事情により売却する方が増加していると聞くことも多いのですが、弊社の場合、住宅購入を中心に業務を行っていることから、売却する理由としては経済的な事情による売却ではなく、住まいへの不満や生活スタイルの変化などによる理由によるものです。

現在暮らしている自宅に住宅ローンの残債がなければ、通常の購入と同様の手順で進め、購入後に自宅を売却するのか賃貸にするのかなどの処理を考えればよいのですが、住宅ローンの残債が残っている場合、資金計画などを入念に打ち合わせしていく必要があります。

不動産売却を不動産会社に依頼する際、宅地建物取引業法の規定に基づく媒介契約を締結することになります。

(媒介契約)
第34条の2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。以下略

この媒介契約を結ぶ前に、不動産会社による基礎的調査が行われ、また、売り主から不動産状況の聞き取り、引き渡し条件などの確認のうえ、売却予定価格の査定が提示されます。

この査定額は、行政や業界側の指針などにより機械的に行われれば、どの会社の最低額も、ある程度の幅の中に収まりますが、そこに会社や担当者の思惑などが入ると、査定額にかなりの乖離が出ることもあります。

例えば、同じ住宅にも関わらず、A社3,000万円、B社4,000万円、C社3,000~3,500万円に分かれた場合、それぞれの会社による思惑は、A社は売却後の次の流れもあるため確実なラインで提示しよう、B社は依頼を受けて自分の成績が確保されればよく価格は後から値下げさせよう、C社は現状の市場や売り主の希望などから複数の提案をしよう、など。

単純な売却だけなら、高めの金額からスタートし市場を見ながら価格を変更していくという手法でも間違いではありませんが、その後の住宅購入を考えると、査定額だけをみて判断できません。

不動産売却と住宅購入という全体の資金計画を立て、そのなかで売却金額と売却の手順を考えていき、依頼する会社と依頼形態を決めます。

売却の依頼後、不動産会社による販売活動で購入希望者が現れた際、売却条件などの最終打ち合わせをします。この際、不動産が下落局面である場合は必要以上に粘るとさらなる状況悪化などによりチャンスを逃すこともあります。

売却の最終条件を決める際に大事な確認ポイントは、売却にかかる諸費用の金額と手元に残る金額についてです。売却時にかかる主な諸費用は、印紙税、測量,境界確認費用、抵当権抹消などの登記費用、住宅ローン返済の残金額と諸費用、依頼した不動産会社に支払う仲介手数料、譲渡税(利益が出た場合)、引き渡し条件に伴う費用など。さらに、売却に伴う引っ越しなどの費用もかかります。

いくらで売れたかということも大事ですが、どのくらいの金額が手元に残り、次の住宅購入にどのような影響があるのかということも含めた総括的な判断が必要となります。

このことは、売却に入る前までに不動産会社としっかり打ち合わせをしていかなければなりません。

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2009年7月 3日 (金)

6月危機(ショック)

「ボーナスが想定の半分しか出ず住宅ローンが返せなくなった」「妻のパート先が倒産した」など、景気悪化に伴う収入減少により住宅ローンの返済に行き詰まるケースが増加し、社会問題化しそうな恐れが“6月危機(ショック)”と呼ばれている。

私が今までお手伝いした方で、このような状態まで至ってしまったという話は幸いにも出ていないが、購入を検討していた方が想定以上のボーナス額減少で購入を見送ることにしたというケースはあった。

6月に危機がくるのは、住宅ローンやクレジットなどの返済をボーナス加算,払いにしていることによる。ボーナス加算は、ボーナスが生活を支える基本的な収入として考えられる従前の日本的な体系ではよかったが、業績と連動する色合いが濃くなると、今回のように景気動向によって左右されるため、ボーナス加算に対しての考えを改めなければならない。

基本的な収入は月収でボーナスはあくまでも“おまけ”という発想にすること。これは、住宅購入がどうこうの前に、社会的なところから変えていかなければならないのでしょう。会社側が月収だけで基本的な生活ができるレベルを支給し、ボーナスは業績によるプラスアルファという配分にすることにより、自然と住宅購入も月収からの返済のみで考えるようになると思われます。

ただし、今回の景気悪化による雇用,収入への影響は、ボーナスだけに留まらず、ボーナス加算なしのケースでも住宅ローンの返済に影響が出てくる模様です。

今回のボーナス減額により返済が遅延となっても、すぐに住宅ローン破綻になるわけではありません。3~6ヶ月前後の間、返済が滞ることにより競売などの処理へ移行することになります。※賃貸の場合とは異なります。

正念場は今年の年末になるのではないでしょうか。6月のボーナスが減額され、住宅ローンの返済が厳しくなって返済が滞り始める。12月までなんとか持ちこたえて冬のボーナスでつなぐことができればよいが、冬のボーナスも大幅な減額となって致命的な打撃を受けると厳しい結果になってしまうかもしれません。

このニュースなどを、これから住宅を購入しようと思う方は、どう考えるのでしょう。住宅購入を見送ることにするというのも方法です。一生の間に家を必ず買わなければならないということはありません。

それでも、いつか購入するというのであれば、今は景気が悪いということで先送りにしても、根本的な解決にはなりません。今の景気が回復したら今後何十年と不景気が来ないということはなく、住宅ローンの返済中に景気悪化局面も訪れることでしょう。

ならば、景気悪化局面でも返済に困らないようにすることです。現在の不景気状態で購入する場合、お財布の紐はきつめになり、無理な購入は自然と避けるようになり、景気回復局面では返済にゆとり、景気悪化局面でもなんとか返済できるという購入になります。

また、今後の不動産市場が上昇することがない限り、いざとなれば売ればいいという発想はできません。このことを考えると、安易に今の生活だけで住まいを考えるのではなく、将来にわたって住まいを考えなければなりません。

繰り返しになりますが、住宅を購入すべき、とか、今がチャンスと、お伝えしたいわけではありません。購入しないという選択があってもよいと思います。

それでも購入する方向で考えるなら、無理のない返済、先を見越した住まいを考えてください、とお伝えしたいまでです。

今年も半年が過ぎ、年末までに景気回復してボーナスの減少が小さくなることを期待したい。でも、選挙のことしか頭にない今の政治では無理なのでしょうね。

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2009年7月 2日 (木)

住宅ローン7月分実行金利

各銀行より平成21年7月実行分の住宅ローン金利が発表されました。

主要銀行の主な7月実行金利は、以下の通りです。
(比較しやすいように全期間優遇適用後で表示します)

・変動金利 三菱東京UFJ銀行:1.275%
      三井住友銀行:1.475%
      みずほ銀行:1.475%
      千葉銀行:1.475%
      住友信託銀行:1.075%
      中央三井信託銀行:1.175%
      三菱UFJ信託銀行:1.475%
      中央労働金庫:1.225%

・3年固定 三菱東京UFJ銀行:2.15%
      三井住友銀行:2.35%
      みずほ銀行:2.35%
      千葉銀行:2.25%
      住友信託銀行:1.95%
      中央三井信託銀行:2.05%
      三菱UFJ信託銀行:2.15%
      中央労働金庫:1.65%

・5年固定 三菱東京UFJ銀行:2.45%
      三井住友銀行:2.65%
      みずほ銀行:2.65%
      千葉銀行:2.65%
      住友信託銀行:2.25%
      中央三井信託銀行:2.35%
      三菱UFJ信託銀行:2.25%
      中央労働金庫:2.05%

・10年固定 三菱東京UFJ銀行:2.75%
      三井住友銀行:2.95%
      みずほ銀行:2.90%
      千葉銀行:2.75%
      住友信託銀行:2.50%
      中央三井信託銀行:2.60%
      三菱UFJ信託銀行:2.60%
      中央労働金庫:2.10%

・35年固定 三井住友銀行:3.96%
      みずほ銀行:3.80%
      千葉銀行:3.12%
      中央三井信託銀行:3.80%
      中央労働金庫:3.55%

※自己資金比率により選択できない固定期間もございます。

各銀行ともほとんどの期間でわずかながらですが金利を引き上げました。6月の長期金利(新発10年国債利回り)が月後半に下落傾向(1.5%→1.3%)で推移していたことから、7月の住宅ローン金利は下降するかと思われておりましたが、予想に反しての引き上げです。先月、今月と裏を取られて逆に動いています。

今後、金利の推移がどのような流れになるのか見えづらい面はございますが、ここ最近の1.5%弱前後を行ったり来たりで、しばらくは落ち着いてくるでしょうか。

もし劇的に動くとすれば、近々予定されている総選挙の動きと結果に対しての市場の反応による影響。どっちが勝てばどうなるというのは分かりませんが、何かしらの影響があるのかもしれません。

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2009年6月 2日 (火)

経済危機対策による住宅税制・融資制度

 経済危機対策を進めるための税法改正案および平成21年度補正予算案が国会に提出されたことをうけ、国土交通省・住宅局より「経済危機対策による住宅税制・融資制度拡充の概要」が出されました。

 正式決定する前ではありますが、まず確実に成立すると見越してのものでしょう。もし、突然、国会が解散して不成立になってしまったらどうなるのでしょうか。

 ま、そのへんは置いておいて、拡充される住宅税制と融資制度の概略をご紹介させて頂きます。

1.贈与税非課税措置

 平成21年1月1日に遡り、平成22年12月31日までの間、20歳以上の方が直系尊属(父母、祖父母など)から住宅取得等に充てるための金銭贈与を受けた場合には、当該期間を通して500万円までの贈与が非課税とされます。

 さらに贈与税の基礎控除110万円もしくは相続時の精算課税と併用できるため、贈与税の基礎控除を加えた場合は合計610万円、相続時精算課税を利用した場合は合計4,000万円までは非課税となります。

 直系尊属とは、実の親もしくは祖父母です。配偶者の親や祖父母からの贈与の場合は対象外となります。この場合は配偶者との共有などで対応することになります。

2.フラット35の拡充

 フラット35(買い取り型)において建設費・購入費の100%まで利用できるようになります。さらに融資の対象となる諸費用の項目も増やしたため、今まで以上に自己資金が少なくても購入しやすくなります。

 また、優良住宅に対する金利優遇を現在の10年から20年に期間を延長します。

その他、詳細は概要書にてご確認下さい。

 


 この経済危機対策(補正予算)は、野党や評論家の方などから、ばらまき、無駄遣い、天下り役員の焼け太りなどと批判されております。この住宅税制・融資制度拡充についても一部が批判の対象となっております。

 まず、優良住宅に対する金利優遇の拡充ですが、これはどなたにも異論はないと思います。贈与税の非課税措置も、つぎはぎの相続税・贈与税制や根本的な贈与に対しての問題はありますが、負担が増えるものではありませんので、ま、いいでしょう。

 問題とされているのは、フラット35の融資対象額拡大です。原則的には自己資金が少ないのと、返済力は比例します。返済力が弱い人に貸し込むというのは、まさにサブプライムローンと同じ。また、公庫時代のゆとりローン問題と手法は違えど、根本は同じ。過去や海外で問題となったことと同じことを、また懲りもせずにやろうとしていることに、批判が集中しています。

 ただし、批判はあっても、国土交通省が発表するくらいですから、まず確実に実行される。ここからは、現場で携わる不動産,住宅業界が、売っちゃえばいいやと甘い言葉で推進するのか、この方には危険だなと感じたときに止められるか、意識や姿勢次第で、問題の大きさが変わってくる。

 氾濫していると言っていいほど情報が多く、FPなどのアドバイザーが認知されてきたことから、ゆとりローン問題ほどにはならないと思うが、ちょっと危なさも感じる。

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住宅ローン6月分実行金利

各銀行より平成21年6月実行分の住宅ローン金利が発表されました。

主要銀行の主な6月実行金利は、以下の通りです。
(比較しやすいように全期間優遇適用後で表示します)

・変動金利 三菱東京UFJ銀行:1.275%
      三井住友銀行:1.475%
      みずほ銀行:1.475%
      千葉銀行:1.475%
      住友信託銀行:1.075%
      中央三井信託銀行:1.175%
      三菱UFJ信託銀行:1.475%
      中央労働金庫:1.225%

・3年固定 三菱東京UFJ銀行:2.10%
      三井住友銀行:2.30%
      みずほ銀行:2.30%
      千葉銀行:2.20%
      住友信託銀行:1.90%
      中央三井信託銀行:2.00%
      三菱UFJ信託銀行:2.15%
      中央労働金庫:1.65%

・5年固定 三菱東京UFJ銀行:2.40%
      三井住友銀行:2.60%
      みずほ銀行:2.55%
      千葉銀行:2.60%
      住友信託銀行:2.20%
      中央三井信託銀行:2.25%
      三菱UFJ信託銀行:2.25%
      中央労働金庫:2.05%

・10年固定 三菱東京UFJ銀行:2.70%
      三井住友銀行:2.90%
      みずほ銀行:2.90%
      千葉銀行:2.70%
      住友信託銀行:2.45%
      中央三井信託銀行:2.60%
      三菱UFJ信託銀行:2.50%
      中央労働金庫:2.10%

・35年固定 三井住友銀行:3.95%
      みずほ銀行:3.81%
      千葉銀行:3.29%
      中央三井信託銀行:3.81%
      中央労働金庫:3.75%

※自己資金比率により選択できない固定期間もございます。

 各銀行ともほとんどの期間でわずかながらですが金利を引き下げました。5月の長期金利(新発10年国債利回り)が昨年来の高い水準で推移していたことから、6月の住宅ローン金利も上昇するかと思われておりましたが、予想に反しての引き下げです。金融の世界は奥が深くて難しいですね。

 変動金利を除く住宅ローンの金利は長期金利(新発10年国債利回り)に影響されます。5月の末には一時的に昨年以来の1.5%をつけました。これは景気回復による金利上昇ではなく、財政悪化懸念などからの国債価格低下によるものです。

 長期金利が上昇すると、金利上昇による利息収入は増える。一方で、住宅ローンなどの借入金の金利上昇で返済負担が高くなります。今後、長期金利上昇の流れが続くと、購入後の返済が重くなったり、借り入れそのものが難しくなったりすることもある。

 この金利上昇がいつまでどこまで続くのか。金融市場は海外の動向にも影響されるため日本の経済だけでは計れないが、本質的な経済環境が回復しているのではなく、債券市場の一時的な需給関係であれば、急激で大幅な上昇にはならないと思うのだが。

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2009年5月26日 (火)

中古住宅保険

 新築住宅の瑕疵担保保険「中古住宅」版ができる見込みになったと、日本経済新聞(平成21年5月26日)で報じられた。

『中古住宅に新保険』

 政府は中古住宅の売買を活発にするため、来年度にも新しい保険制度をつくる検討に入った。保険に加入すると、買ってから5年以内に雨漏りなどの欠陥がみつかれば、かかった補修費用を最高1000万円まで支払う。保険を普及させ、中古住宅の品質への不安を和らげる。良質な中古住宅の流通を促して住宅購入で新築以外の選択肢を広げ、住環境の改善につなげる。

 耐震偽装事件を受け、政府は10月から新築住宅の売り主に保険加入(供託でも可)を義務付ける。新保険は加入が任意な点は異なるが、その中古住宅版といえる。

 具体的には、不動産会社など中古住宅の売り主が保険に加入する。国土交通省が指定する「住宅瑕疵(かし)担保責任保険法人」が中古住宅の品質を検査したうえで保険を引き受ける。

 保険に加入すると、住宅の引き渡しから5年以内に雨漏りや床の傾きなどがみつかれば、買い主が売り主に補修工事を要求できる。売り主はかかった補修費の八割、上限1,000万円まで保険金を受け取れる。

 仮に売り主が経営破綻した場合、買い主は保険金を直接請求できる。保険料は検査料を含めて10~15万円になるとみられる。

 売り主が個人の場合は「欠陥の補修責任を負わせるのは難しい」との指摘がある。このため、保険法人が検査を委託した住宅検査会社に責任を負わせる案などがある。

 保険に加入できるのは耐震基準が厳しくなった1981年以降の一戸建てやマンション。それ以前の物件が保険に入るには、耐震診断に合格する必要がある。

 26日の社会資本整備審議会で国交省が保険制度の概要を示す。住宅保険法人に取り扱いを働きかけ、来年度には保険販売が始まる見通し。

 国交省によると住宅売買全体に占める中古住宅の比率は、米国や英国が70~90%なのに対して日本は13%にとどまる。

引用元:日本経済新聞


 この保険制度は、中古住宅市場の整備を進める方針の一環です。記事の最後に記載されている通り、諸外国と比べ、中古住宅流通の比率が少なく、スクラップアンドビルドを繰り返す日本の住宅環境を改善しなければ、消費者の負担や資産形成に影響し、大きくは環境にも影響する。

 新しく制定される保険制度は、売り主が不動産業者の場合に限るもので、中古住宅の大半を占める一般の方が売り主の場合には有効な手段とならない。

 購入者側が中古住宅に目を向けるには、売り主の形態に関わらず、安心が得られる制度が必要である。しかし、これを一般の方へ行政,法律で強制するのは難しい。

 このような状況は現場で携わる不動産業者などは見抜いており、あちらこちらで、中古住宅分野への進出や新事業を模索されている。すでにホームインスペクションなどは動き出しており、今後もおそらく、行政が打ち出すものより購入者に支持されるサービスなどが民間から出てくるであろう。

 なにも行政側を非難しているわけではない。住生活基本法制定後の動き,方向性はよい。中古住宅に光をあて、事業者,消費者を導いている功績は大きい。いま確実に、世の中,社会の流れは中古住宅に向かっている。今後、住宅を購入しようと思っている方は、この点を十分に理解することが大切です。

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2009年5月21日 (木)

土地のグランプリ

 麻布、白銀、広尾などの都心にある閑静な住宅地。田園調布、成城、自由が丘などの邸宅街。吉祥寺、二子玉川、下北沢などの住みたい街ランキングで上位の常連。

 このような有名な街から知られていない街まで、首都圏の代表的な住宅地を取り上げて評価した“土地のグランプリ”が講談社MOOKより発売されている。

 2年前、日本経済の調子も良く地価が上昇局面にあった頃、初めて“土地のグランプリ”が発売され、町丁目単位で格付けして話題になった。今回はその第二弾。(かな?)

 ただし、前回は首都圏に加えて中部,関西も網羅したが、今回は東京都心部に注力している。千葉県内では、前回が東京通勤圏を広く網羅したが、今回は千葉県内は市川市,浦安市に絞られている。町丁目単位という細部にわたる分析と格付けの色合いを濃く、浅く広くから狭く深くというスタンス。

 住宅購入のサポートをする立場として、エリアは違えど、興味を持って読めるのかと思っていたが、読み進めていくうちにテンションは下がってしまった。

 土地のグランプリであるから、各エリアごとに定評がある住宅地が取り上げられる。どのエリアを見てもグランプリに登場する街は、それはもう素敵な街ばかり。記事を読んでも写真を見ても、どの街にも住みたくなる。

 しかし、取り上げられる街の地価を見れば、坪300万円だ、400万円だと、こんな地価で土地が買えるのか、と思える場所ばかり。私が千葉県に仕事場も住まいもあることから、感覚が違うにしても、こんなところを買えることが不思議で仕方ない。

 もうちょっと細部の住宅地を見ても、地価は坪100万円を下る場所はなく、30坪の土地を買ったら、土地だけでも4,000万円、5,000万円となりそう。これに建物を3,000万円だ、4,000万円だとかけたら、トータルの予算は1億円近い。

 こんな感じであるから、一般的な人がグランプリに登場するようなエリアで住宅を購入しようとしたら、建て売りかマンションしかない。それでも6,000万とか7,000万円にはなるのではないか。

 不動産を購入する際は、金額に関わらず慎重に行うべきであるが、このような高額の予算を出して住宅を購入する場合は、なおさらのことである。購入した建て売り住宅に問題が見つかった。暮らし始めたマンションが合わない。住宅ローンの返済で家計が苦しい。など。

 高額になればなるほど、なにかしらの事情が出た場合、取り返すにはかなりの労力や資金力が必要となり、挽回しづらいものである。

 それでもなお、グランプリに取り上げられるような街に住みたがるのはなぜか。生活や通勤などの日常的な利便性もあるだろうが、グランプリにを見ていて共通するのは街並みなどの雰囲気である。

 不動産の相場は理論的なこと以上に、みなが住みたがる、人気がある、などの感情的なことに左右される。資産価値がある、資産価値が落ちないというのは、住みたがる、人気がある、そして、これが続くことである。

 街並みがよく雰囲気がいい→人気がある→資産価値がある、という流れを逆に考えると、資産価値が落ちないエリアは人気があるエリア、人気があるエリアは街並みがいい、と。このことからみれば、資産価値を重視してエリアを決めるなら街並みを見ることが大事になる。

 街並みの良さは都市計画で整然とした街が代表的なものであるが、密集住宅地でも、緑、歴史、文化などの要素が混ざると風格ある雰囲気が醸し出される。

 グランプリに出てくるような街はすでに高値となってしまっている。まだ見いだされていないエリアで、街並みなどがよい場所を見つけることができたら、お買い得になるかもしれない。

 どの街がランキングに入っているのか、その理由を知りたい方は、本書を手にとってみてください。

 余談)グランプリに出てくるような街はすでに住宅地が形成されています。開発の余地も少ないことから、戸建てにしろマンションにしろ、新築は厳しい状況。エリアを重視して中古住宅,マンションを視野に入れるのが良いのかもしれません。

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